イメージ力とデッサン力

 写真やモデルを見て描いた絵は、リアルであっても、想像で描いた絵はなぜかデッサンが狂っている、なんだか不自然に見える人、というのは実は多いものです。これは、見えないものを想像して描くということができないから、に他なりません。物をイメージする力がないと、実際に物を見て描くデッサンがいくら上手くてもモデルがいなければ、実物がなければ描けないということになります。そうなってくると困るのが、モデルなど実際に観察することができない絵を描けないということです。モデルそのものが自分の理想どおりでなければ、自分の理想とする絵も描けない、ということになってしまいます。もちろん、数多くのデッサンをこなし脳内にしっかりと物がイメージできるようになれば、一度描いたものは見なくてもかけるようになっていきます。ただ、何でもイメージできるようになるには、見たままに描ける力とはちょっと別の力が必要になるのです。
 ちょっと矛盾して聞こえるかもしれませんが、実はデッサン力が上がっていくにつれて見ていないものは描けなくなってしまうこともあります。本当は脳に描くべき画像が存在するのに、良く物を観察してから描くクセがついてしまい、脳に存在する画像を上手く引き出せなくなってしまうのです。そんなときに試して欲しいのが、イメージトレーニングです。そうです、アスリートなどが行っているあれです。自分の理想の絵を、描ける描けないは別にしてイメージできるようにトレーニングしてみてください。本来デッサン力は、見えない部分も想像し、理解した上で描ける力です。イメージ力をアップさせれば、それは最終的に、デッサン力を上げることに繋がっていくのです。

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